小野次郎 公式ブログ『ジローのおしゃべりサロン』

霞が関、総理官邸&永田町のすべてに精通する小野次郎のつぶやきとため息

残業手当完全支給の実現を!

 官僚天国と税金無駄遣いの撲滅が、今や国全体にとって大きな課題となっている。そして、いずれについても公務員の仕事の進め方について、大胆な意識改革が求められている。僕は、公務員に対する残業手当(超過勤務手当)全額支給の実現こそ、この意識改革をもたらすものであると考える。

「朝寝坊、ほほえみ返しで部屋に入り」

 これは、某省で高官を務めた友人が、若いころ詠んだ川柳。友人は、風呂敷を抱えて真冬でもコート無しで出勤していた。我々が公務員になりたての時代には、省庁間の合議や国会議員への説明などに赴く際、六法などを風呂敷袋に包んで歩くことが多かった。中央官庁では今に至るまでタイムカードは使われていないから、スーツ姿で風呂敷を持って出勤すれば、何時に帰宅して何時に出勤したか外からは分からないというわけだ。しかし、僕などは、その上を行く‘知能犯’だった。一人で残業して夜遅く帰宅するときには、机の上をわざと作業中の状態のまま帰宅する。こうしておけば昨夜何時まで仕事したのか、今朝は何時から出てきているのか出勤してきた同僚にも分からない。

 最近、「居酒屋タクシー」など中央省庁職員の様々な‘生態’が、国民から厳しく批判を受けている。僕の見るところ、十分に報われない待遇に対する「開き直り」が、次第に、自分らが作った制度、施設、毎年の予算までを、「目立たないように、むさぼり使い切る」までに、自虐的に増殖・発展したものだ。

 公務員には、一方で、「俺たちは一時間なんぼで働く時間売りの労働者ではない。」というプライドの高さがある。朝、定時より遅く出るのは中央省庁職員、特にいわゆるキャリアに許された特権であると思っている。しかし現実は、プライドを満足させるようなものではない。国会質問、予算要求、法律改正と重要案件を抱えても、仕事が縦割りだから、特定のラインに仕事が集中する。いくら長時間働いても貰える超過勤務手当は、所属と職階にしたがって、ほぼ横並びである。経験を積むにつけて、自ずと、そんな職場で生き抜くペースとノウハウを身に付ける。忙しい時期に部外の会合にお呼びが掛かっても中央省庁の職員は欠席しない。夕食代わりに、会合に出席する知恵を持っている。赤い顔をして席に戻り、それから又深夜まで仕事を続ける姿はごく普通。そして、空振りに終わる国会待機など、大した仕事をしない日でも深夜帯まで居残れば、堂々とタクシー券を使って帰宅できる。翌朝は再びラッシュアワーを避けたプライベート時差通勤へと、繰り返しの毎日が続く。断片を見れば「官僚天国」のようだが、実は、際限の無い「官僚地獄」でもある。この間、環境に馴染めない職員の中に、健康を害したり公務員生活に見切りをつけたりして、職を辞していく人が後を絶たない。

 この残業手当の完全支給の実現は、永年にわたる役所の仕事の進め方自体について、抜本的な見直しを必要とする。無定量のタダ働きの元凶は、年中行事化しているいくつかの業務である:一に、国会質問の答弁案作成、二に、予算決算関連の書類作成、三に、法改正の省庁間合議。これらを理由にして、各省庁は実施が非現実的であると主張するだろう。しかし、これは「鶏と卵」の屁理屈に過ぎない。そもそも、労働基本法の精神、ひいては日本国憲法の理念に悖る無定量の労働を強いる勤務環境の中から、国民にとって分かりやすいスマートな行政の実現など、とても期待できない。要は、「見切り」の問題である。むしろ、残業手当の完全実施を実現する過程で、官僚天国と税金の無駄遣いを撲滅する様々な積極的な効果が期待される。

 第一には、行政にまつわる「虚構」の排除。まず、いかなる職場でも登退庁をタイムカードで管理するべきである。すでにセキュリティ面からIDカードを使用している官庁が多いので、実施はそんなに難しくない筈。行政の在り方をめぐって今問い直されている問題の本質は、行政におけるさまざまなフィクション(虚構)の存在である。その最たるものが、採用されたその日から身に付ける実勤務時間に関する「虚構」である。意識改革はまず、ここから始めるべきである。

 第二に、「書面主義」の排除。「読める」とか、「一応理屈が通っている」、更には、「説明書類が揃っている」などといった、実社会での必要性や経済合理性とかけ離れた小役人的な判断基準を止める契機となる。誰にでも分かる切実な必要性を上げるなら、口頭説明かメモ出しで十分な筈。現実は、思いつく限りの屁理屈を臆面も無く並べ立てるために、行政は書類作成に膨大な労力を割いている。また、行政の対象となる国民にもそうした膨大な手間を要求する。結果として、国民から見れば「使いにくい」、「役に立たない」という評価を受ける施策が、如何に多いことか?「精密さ」を志す行政が、逆に、「税金の無駄遣いと非効率」の行政を生んでいるというパラドックスが見える。実働時間を常に把握することで、公務員に時間を節約した仕事の進め方を習得させなければならない。

 そして最後に、残業の総量抑制につながること。各省庁は、現状で残業手当を完全支給しようとすれば、超過勤務手当て予算の膨大な積み増しが必要になると抵抗するだろう。実施当初は確かにそういう現象が生まれるだろう。しかし、その間は他の事業費から予算を回してでも実施する価値がある。役所が組織として、国会議員に対して質問を48時間前までに通告するルールを守るよう総残業時間を示して求めることが可能になる。また、財務省の予算当局に対して、膨大な要求資料に代えて口頭説明やメモ出しで済ませるよう求めることができる。各個の職員による無制限なタダ働きの勤務環境を改善することが、改革の出発点であると信じる。


コメント

お邪魔しました(^^)。

こんにちは。

1児パパしてます。
最近、残業続きです。
家で仕事してるため、昼間は子守も仕事です。
娘がなかなか寝てくれず、落ち着いて
PC覗いていられないです(><)
寝る気配なし・・・
またあとで見させてもらいますね。
では。

  • 2009/05/17(日) 19:37:24 |
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  • ★KEEP BLUE★ #-
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